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教育・研修

保険代理店の年間教育計画、何を入れればいい?12か月の研修テーマ例

毎月の研修テーマをゼロから考えずに済むよう、年間教育計画を整えませんか。12か月のテーマ例、対象者・教材・理解度の管理、法改正時の見直しまで実務目線で整理します。

著者:TAGNOTE運営最終更新日:2026年10月1日
目次 (13項目)開く

「今年も募集人研修をやらないと」

と思っていたのに、気づけば半年経っている。

その間に、

保険会社から新しい案内が来た。

個人情報の研修も必要そう。

比較推奨販売も確認しておきたい。

自己点検の時期も近づいてきた。

そして結局、

「今月は何の研修をやればいいんだろう」

と、その都度考える。

保険代理店の教育で大変なのは、研修そのものより、何を、いつ教育するのかを毎回ゼロから考えることだったりします。

そこで役に立つのが、年間教育計画です。

最初に一年分をざっくり決めておけば、

「今月は何をやる?」

ではなく、

「今月はこのテーマを確認する」

から始められます。

今回は、保険代理店の年間教育計画について、何を入れればいいのか、実際の12か月のサンプルまで作ってみます。


そもそも年間教育計画は、何のために作る?

金融庁の現在の監督指針では、保険募集人について、保険募集に関する法令等の遵守、保険契約に関する知識、顧客情報の適正な管理などについて、適切な教育・管理・指導を行うことが求められています。

また、商品の特性に応じて、お客さまへ十分な説明ができるよう、商品や保険契約について必要な知識を付与する教育を行うことも着眼点になっています。 金融庁:保険募集管理態勢

ただ、

「4月はこれ、5月はこれ、6月はこれ」

という全国共通の年間カレンダーが決められているわけではありません。

扱っている商品。

募集方法。

代理店の規模。

過去に起きた問題。

所属保険会社からの指示。

こうしたものによって、必要な教育は変わります。

だから年間教育計画は、

法律で決められた12個の研修を並べるもの

というより、

自社で今年確認しておきたいことを、抜けなく一年へ配置するもの

と考えると分かりやすいです。


募集の基本、意向把握、比較推奨、個人情報、自己点検などを12か月へ配置する年間教育計画の例
募集の基本、意向把握、比較推奨、個人情報、自己点検などを12か月へ配置する年間教育計画の例画像を選ぶと拡大できます。

最初から12個のテーマを考えなくてもいい

年間計画を作ろうとすると、

「12か月あるから、12個別々の研修を考えないと」

と思いがちです。

でも、最初はもう少し大きく分ければ十分です。

たとえば、

募集の基本

顧客対応

商品説明・比較推奨

契約手続

個人情報・情報セキュリティ

コンプライアンス

代理店の管理体制

自己点検・改善

くらいです。

この大きなテーマを一年に振り分けてから、実際の教材を決める。

その方が作りやすいです。

年間教育計画に入れておきたい項目

テーマだけを12個並べても、実際の運用では少し足りません。

計画表には、少なくとも次のような項目があると使いやすくなります。

項目内容
実施月いつ行うか
研修テーマ何について学ぶか
対象者誰が受けるか
教材何を使うか
実施方法集合研修・動画・資料確認など
確認方法レポート・テスト・面談など
担当者誰が管理するか
未受講者対応欠席した場合どうするか

全部を複雑に管理する必要はありません。

ただ、

テーマだけ決まっていて、誰が受けるのか分からない

という状態にはしない方がいいでしょう。


保険代理店の年間教育計画、12か月のサンプル

では、実際に作ってみます。

これは全国の代理店にそのまま適用される「法定カリキュラム」ではありません。

あくまで、保険代理店で一年を通して確認しておきたい内容を並べた年間教育計画の一例です。

月研修テーマ主に確認すること
1か月目募集人の登録と募集の基本代理店登録、募集人届出、募集権限
2か月目顧客本位の対応と意向把握お客さまの意向の聞き方・記録
3か月目商品説明と比較推奨商品比較、推奨理由、顧客への説明
4か月目重要事項説明と契約手続重要事項、意向確認、申込み
5か月目契約保全・満期・事故対応変更、解約、満期、事故受付
6か月目配慮が必要な顧客・禁止行為高齢者対応、不適切な募集の防止
7か月目個人情報・情報セキュリティ顧客情報、メール、端末、漏えい初動
8か月目代理店の管理体制責任者、報告経路、役割分担
9か月目コンプライアンス・ガバナンス法令遵守、違反時の報告
10か月目自己点検・内部監査・リスク管理自己点検、改善、BCP
11か月目利益相反・不適切行為の防止利益相反、反社会的勢力、法令違反
12か月目年間の振り返り未受講者、自己点検結果、次年度の課題

こうして見ると、

「今年は個人情報研修をやったけど、意向把握は一度も扱っていない」

といった抜けも見えやすくなります。


募集の基本から年間振り返りまで12のテーマを一巡し、自社に合わせて調整する年間ロードマップ
募集の基本から年間振り返りまで12のテーマを一巡し、自社に合わせて調整する年間ロードマップ画像を選ぶと拡大できます。

毎月1時間の集合研修をしないといけないわけではない

12か月計画を見ると、

「毎月全員を集めて1時間研修するの?」

と思うかもしれません。

必ずしもそうではありません。

テーマによって、

30分の社内研修。

公開されている動画教材を見る。

資料を読んでレポートを書く。

朝礼で事例を共有する。

確認テストをする。

ロールプレイをする。

など、方法を変えてもいいでしょう。

重要なのは、

「研修を開催した」というイベントを増やすことではなく、そのテーマについて募集人が必要な内容を理解すること

です。

人数が少ない代理店なら、全員で資料を読んで15分話す方が実際には身につくこともあります。

逆に比較推奨販売のように、実際の説明方法が重要になるテーマなら、ロールプレイを入れてもいい。

内容に合わせて方法を変える方が自然です。

「全員同じ研修」にしなくてもいい

これも年間計画を作るときに考えておきたいところです。

新人募集人。

経験10年の募集人。

管理者。

経理担当。

全員に必要な教育が完全に同じとは限りません。

たとえば、

全員共通

  • 個人情報
  • コンプライアンス
  • 社内規程

募集人向け

  • 意向把握
  • 商品説明
  • 比較推奨
  • 重要事項説明

管理者向け

  • 自己点検
  • 改善管理
  • 監査
  • 教育管理

という分け方もできます。

年間計画に「対象者」という欄を入れておくと、この整理がしやすくなります。


新人教育は、年間計画とは別に考えた方がいい

たとえば10月に新しい募集人が入ったとします。

年間計画では、

10月は「自己点検」。

でも、その新人にとっては、

募集の基本。

個人情報。

意向把握。

重要事項説明。

などを先に確認する必要があります。

なので、

年間教育計画=全社員の定期教育

と、

新人・異動者などへの個別教育

は分けて考えた方が分かりやすいです。

金融庁の監督指針でも、募集人に必要な教育・管理・指導を行うことが求められているため、「今月の全社研修に参加したから、それだけで新人教育も終わり」とは考えない方がいいでしょう。


法改正があったら、年間計画を崩していい

年間計画を作ると、

「予定通りやらないと」

と思ってしまいます。

でも、年間計画は固定するためのものではありません。

たとえば、

比較推奨販売について大きな改正が公表された。

顧客情報の事故が起きた。

保険会社から重要な募集ルール変更が来た。

新しいAIサービスを業務利用することになった。

そんなときは、

予定に追加する。

あるいは、翌月のテーマを入れ替える。

それでいいと思います。

むしろ、

年度初めに作った計画を守ることを優先して、実際に起きているリスクを扱わない方が不自然です。

年間教育計画は、

教育の予定表であると同時に、その年に起きた変化へ対応する土台

として使う方が実務的です。


定期教育に法改正、事故・苦情、商品改定に応じた追加教育を組み込む
定期教育に法改正、事故・苦情、商品改定に応じた追加教育を組み込む画像を選ぶと拡大できます。

研修テーマは、自社の失敗から決めてもいい

年間教育計画を作るとき、

法律や教材の目次だけを見てテーマを決める必要はありません。

たとえば、

自己点検で、

「比較推奨販売の理解が弱い」

という課題が出た。

最近、

メールの誤送信があった。

募集記録を見ると、

意向把握の内容が担当者によってかなり違う。

苦情で、

説明不足を指摘された。

こういうことがあれば、

翌年度の研修テーマへ入れる

価値があります。

「今年やるべき教育」は、

外部から決まるものだけではありません。

自社で実際に弱かったところ

も入れる。

これが年間教育計画を自社向けにする一番分かりやすい方法です。

研修した後は、理解できたかを見る

年間教育計画を12か月全部実施した。

これで終わり。

とは限りません。

研修の目的は、予定を12個消化することではないからです。

内容によっては、

短いレポート。

確認テスト。

面談。

ロールプレイ。

実際の募集記録の確認。

などで、理解度を見ることもできます。

毎回試験をする必要はありません。

でも重要なテーマについて、

「動画を再生したので受講済み」

だけでは、本当に理解したか分からないこともあります。

特に、

比較推奨販売。

意向把握。

高齢者対応。

事故時の情報管理。

などは、実際のケースで確認した方が理解しやすいテーマです。


社内規程に入れるなら、どんな文章になる?

年間教育を毎年続けるなら、

「今年はやろう」

という管理者の意思だけに頼らず、社内規程へ入れておく方法があります。

私たちが提供している保険代理店向けの自己点検・教育管理サービス「TAGNOTE」では、たとえば次のような規程を収録しています。

TAGNOTE収録規程例 第24条「教育計画」

採用時、募集開始前、商品改定時および定期的に、法令、顧客本位、商品、意向把握、比較推奨、高齢者対応、個人情報、サイバー、苦情・不適切事案等の教育を行う。

研修日時、教材、講師、受講者、理解度、欠席者フォローおよび再教育を記録する。

さらに理解度については、

第25条「能力・理解度確認」

確認テスト、ロールプレイ、募集記録点検、面談その他の方法で理解度および実践状況を確認する。

不十分な者には期限を定めて再教育し、必要に応じ募集権限を制限する。

という形にしています。

ポイントは、

定期的に教育すること

だけでなく、

受けたか、理解できたか、欠席した人をどうするか

まで一つの流れにしていることです。

※これらはTAGNOTEが実務利用を想定して作成している規程例であり、金融庁や損保協会の公式規程そのものではありません。代理店の規模、取扱商品、所属保険会社のルール等に合わせて確認・調整してください。


TAGNOTEでは、12か月の計画を最初から用意しています

年間教育計画は便利です。

ただ、実際には、

その年間計画を作るところが一番面倒

だったりします。

そこでTAGNOTEでは、今回の記事で紹介したような考え方をもとに、12か月分の標準的な研修テーマを最初から用意しています。

たとえば、

募集の基本。

意向把握。

比較推奨。

重要事項説明。

契約管理。

個人情報・セキュリティ。

コンプライアンス。

自己点検。

などです。

それぞれの月には、社内の保険業務規程と、損保協会が公開している教育コンテンツなどを組み合わせて確認できるようにしています。

管理者が開始月を決めると12か月の計画を作り、対象となる利用者へ研修を割り当てる。

TAGNOTEの実画面:年間研修・受講確認一覧(デモ環境・会社名や氏名、数値はサンプル)
TAGNOTEの実画面:年間研修・受講確認一覧(デモ環境・会社名や氏名、数値はサンプル)画像を選ぶと拡大できます。

受講者は内容を確認してレポートを提出し、管理者が確認する。

という流れです。

ただし、TAGNOTEの12か月計画も、

「これをやれば、すべての代理店で必要な教育が完全に終わる」

という意味ではありません。

自社の商品、業務、所属保険会社からの指示、法改正、自社で起きた問題などに応じて、追加・見直しをする前提です。

年間教育計画は、

完成されたチェックリストではなく、教育を続けるための土台

と考えるのがいいと思います。


年間計画、対象者への割当て、受講、レポート・テスト、管理者確認、再教育、次月へ進み、12か月後に改善する
年間計画、対象者への割当て、受講、レポート・テスト、管理者確認、再教育、次月へ進み、12か月後に改善する画像を選ぶと拡大できます。

最初から完璧な年間計画を作らなくていい

これまで年間教育計画を作っていなかった代理店なら、

いきなり完璧な12か月計画を作る必要はありません。

まず今年、

絶対に一度は確認したいテーマ

を並べてみる。

募集の基本。

意向把握。

比較推奨。

個人情報。

コンプライアンス。

自己点検。

たとえば6個出た。

それなら半年に配置する。

残りの月には、

商品の研修。

事故対応。

前月の復習。

自社で起きた課題。

などを入れていく。

それだけでも、

「今年、個人情報研修やったっけ?」

という状態からはかなり前進します。

年間教育計画で大事なのは、

12マスをきれいに埋めることではありません。

今年、自社の募集人に何を理解してもらいたいのか。

それを一年の中で忘れず実施できる状態にする。

まずはそこです。

そして12か月後、

「今年の研修で何が変わったか」

まで振り返る。

そこまでできると、年間教育計画が単なる予定表ではなく、代理店の業務品質を少しずつ上げていく仕組みになります。

運営:株式会社Arima Estate · 編集方針・著者情報

出典・参考資料