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教育・研修

新人募集人が入ったとき、最初に何を教える?保険代理店の教育チェックリスト

新人を現場へ出す前に、資格・届出、募集権限、顧客対応、商品説明、情報管理をどう確認するか。14項目のチェックリストと、理解度確認から継続教育につなぐ流れを整理します。

著者:TAGNOTE運営最終更新日:2026年10月2日
目次 (15項目)開く

新人が入社した。

保険の経験はほとんどない。

まず何を教えるか。

商品知識から始める。

社内システムを教える。

先輩の商談に同行してもらう。

どれも必要そうです。

ただ、新人教育で一番避けたいのは、

「先輩について仕事をしながら覚えて」だけで募集を始めてしまうこと

だと思います。

保険募集では、商品を知っているだけでは足りません。

自分には何を説明する権限があるのか。

顧客の意向をどう聞くのか。

重要事項をどう説明するのか。

個人情報をどう扱うのか。

分からないことがあったとき、誰に確認するのか。

こうした基本を知らないまま現場へ出すと、本人もかなり不安です。

今回は、新しい募集人が入ったときに、

「募集を始める前に、最低限どこまで確認しておけばいいか」

を整理します。


まず大前提。入社したその日から募集できるとは限らない

ここは最初に確認したいところです。

金融庁の現在の監督指針では、保険代理店で保険募集に従事する役員・使用人は、代理店から保険募集について適切な教育・管理・指導を受けて募集を行う者とされています。保険会社側にも、募集人に必要な法令知識、保険契約に関する知識、顧客情報管理などについて適切な教育・管理・指導を行うことが求められています。 金融庁:保険募集管理態勢

また、日本損害保険協会の募集コンプライアンスガイドでも、募集人届出の要件として、代理店主等から保険募集に関する適切な教育を受けていることが挙げられています。所属保険会社の規定等に従い、損保一般試験の基礎単位や必要な商品単位を取得・更新することなども典型例として示されています。 損保協会:募集コンプライアンスガイド

損保一般試験には基礎単位と商品単位があり、保険募集に必要な知識を確認する制度です。資格の有効期限や届出基準については所属保険会社の確認も必要です。 損保協会:損保一般試験

なので、

「採用した」=「今日から自由に募集してよい」

ではありません。

まず、

資格。

届出。

所属保険会社の手続。

社内教育。

募集できる商品・業務範囲。

ここを確認してから現場へ出す。

この順番です。


入社から資格・届出確認、基礎教育、商品・募集手続教育、理解度確認を経て募集開始する
入社から資格・届出確認、基礎教育、商品・募集手続教育、理解度確認を経て募集開始する画像を選ぶと拡大できます。

1.まず「自分は何者として募集するのか」を教える

商品より先に教えておきたいことがあります。

それが、

保険募集人としての立場

です。

たとえば、

どの保険会社に所属しているのか。

代理なのか、媒介なのか。

どこまでの権限があるのか。

顧客から告知を受け取る権限があるのか。

何を自分で判断してよく、何を上司や保険会社へ確認すべきなのか。

こうした部分です。

お客さまから見ると、新人かベテランかは関係ありません。

募集人として説明を受ければ、

「この人の説明は代理店としての説明」

と受け取ります。

だから最初に、

自分ができること・できないこと

をはっきりさせておく必要があります。

2.社内規程を全部暗記させる必要はない。でも「どこを見るか」は教える

新人へ分厚い社内規程を渡して、

「全部読んでおいて」

だけでは、なかなか実務にはつながりません。

むしろ最初は、

  • 募集で迷ったらどこを見るか
  • 個人情報のルールはどこか
  • 苦情があったら誰へ報告するか
  • 事故・誤送信が起きたら誰へ連絡するか
  • 比較推奨販売の方針はどこにあるか

を教える。

その方が使いやすいです。

規程は、

全部覚えるものではなく、必要なときに正しいルールを確認する場所

でもあります。

新人にはまず、

「分からないことを、自分の記憶だけで判断しない」

という癖を付けてもらう方が大事です。

3.顧客の意向をどう聞くか

商品知識を学ぶと、

つい、

「この商品はこういう商品です」

という説明から入りたくなります。

でも募集では、その前に、

お客さまが何を求めているか

を聞く必要があります。

前の記事で扱った意向把握です。

新人教育なら、制度説明だけでなく、実際の質問まで練習した方が分かりやすいです。

たとえば、

「保険料はどの程度重視されますか?」

「今の契約で困っていることはありますか?」

「絶対に外したくない補償はありますか?」

といった質問です。

そして、

聞いた内容をどう記録するか

まで教える。

「お客さまの希望を聞いてください」

だけだと、担当者によってかなりばらつきます。


新人と先輩のロールプレイで、顧客の話を聞き、記録してから提案する練習をする
新人と先輩のロールプレイで、顧客の話を聞き、記録してから提案する練習をする画像を選ぶと拡大できます。

4.重要事項説明は「資料を読めば終わり」ではない

新人にとって難しいのが重要事項説明です。

資料を読むことはできます。

でも、

お客さまが理解できるように説明する

のは別の力です。

金融庁の監督指針でも、商品特性に応じて、顧客が十分理解できるよう、保険商品や保険契約について十分な知識を付与する教育が求められています。公的保険制度についても適切な理解を確保するための教育が求められています。 金融庁の監督指針

新人には、

商品パンフレットを読ませる。

だけではなく、

「これをお客さまに説明するとしたら、どう言う?」

までやってみる。

これだけでもかなり違います。

特に、

免責。

保険金が支払われない主な場合。

告知・通知義務。

乗換えによる不利益。

などは、

「資料に書いてあります」

ではなく、自分の言葉で説明できる状態を目指したいところです。

5.比較推奨販売は、新人ほど社内ルールを先に教える

乗合代理店なら、比較推奨販売も早めに教えておきたいテーマです。

新人へ、

「お客さまに合うものをおすすめして」

だけではかなり難しいです。

何を基準に商品を絞るのか。

なぜその商品を勧めるのか。

他の商品について聞かれたらどうするのか。

代理店としての比較推奨方針を先に教える必要があります。

新人が先輩を見て、

「この先輩はいつもA社を売っているから、A社を勧めればいいんだ」

と覚えてしまう。

これは避けたいところです。

先輩の商品選択を真似するのではなく、代理店の判断基準を覚える。

こちらを教育したいです。

6.個人情報管理は初日に近い段階で教える

個人情報管理は、

「そのうちコンプライアンス研修でやろう」

では少し遅いと思います。

新人は入社直後から、

顧客名。

電話番号。

契約内容。

メール。

紙資料。

システム。

などに触れる可能性があります。

なので、

顧客情報をどこへ保存してよいか。

私物スマホを使ってよいか。

メール送信時に何を見るか。

紙資料をどう保管するか。

パスワードを共有してよいか。

こうしたルールは、かなり早い段階で伝えておいた方がいいでしょう。

難しい法律講義より、

「これはやっていい」「これはダメ」「迷ったらここへ聞く」

から教える方が、新人には分かりやすいです。

個人情報管理の実務ポイントはこちら


私物端末への保存とID共有を避け、メールを確認し、紙を放置せず事故はすぐ報告する
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7.苦情・事故が起きたとき「自分で何とかしない」ことを教える

新人は、

「お客さまから怒られた」

「メールを間違えて送った」

「説明を間違えたかもしれない」

というとき、

怒られるのが怖くて自分だけで処理しようとする可能性があります。

ここは最初から、

何かあったらすぐ報告する

と教えておいた方がいいです。

誰へ。

どの方法で。

どの程度のことなら報告するのか。

を具体的にしておく。

「重大な問題は報告してください」

だけだと、新人には何が重大か判断できません。

なので、

迷ったら報告する

くらいでもいいと思います。

8.システム操作だけでなく「操作してよい範囲」も教える

新人教育では、

このボタンを押す。

ここへ入力する。

この画面で見積りを出す。

と、システム操作を教えます。

でも、それと同時に、

どのシステムへアクセスしてよいか

どの権限まで持っているのか

何を自分だけで承認してよいか

も教えておきたいところです。

募集人ごとに、

扱える保険会社。

商品。

募集方法。

承認権限。

システム権限。

を確認する。

これができていないと、

新人自身が、

「できるからやっていい」

と考えてしまうことがあります。

システム上操作できることと、業務上やってよいことは同じとは限りません。


新人募集人向け 教育チェックリスト

ここまでを、実際に使える形にまとめます。

募集開始前に確認したい項目

分類確認すること完了
資格・届出必要な資格・単位の有効性を確認した□
資格・届出募集人届出等の必要手続きを確認した□
権限取扱保険会社・商品・募集方法を確認した□
権限自分で判断できる範囲と承認が必要な範囲を理解した□
社内ルール保険業務規程の確認場所を理解した□
意向把握顧客の希望を聞き取り、記録できる□
商品説明担当商品の基本的な補償内容を説明できる□
重要事項主な注意点・免責等を説明できる□
比較推奨自社の比較推奨方針を理解した□
個人情報顧客情報の保存・送信ルールを理解した□
苦情・事故問題発生時の報告先を理解した□
システム必要な業務システムを正しく操作できる□
記録募集記録をどこへ残すか理解した□
理解度ロールプレイ・テスト等で理解を確認した□

これは法令で定められた公式チェックリストではありません。

実際には、所属保険会社の教育・届出ルールや、自社の取扱商品・業務内容に合わせて追加・変更してください。


資格・届出、募集ルール、顧客対応、商品知識、情報管理、報告・記録の6分野を募集開始前に確認する
資格・届出、募集ルール、顧客対応、商品知識、情報管理、報告・記録の6分野を募集開始前に確認する画像を選ぶと拡大できます。

「一通り説明した」ではなく、できるか確認する

新人教育でありがちなのが、

先輩が説明した。

資料も渡した。

だから教育完了。

という形です。

でも、

聞いたことと、できることは違います。

金融庁の監督指針でも、単に研修を実施するだけでなく、募集人の育成や資質向上につながる適切な教育・管理・指導が求められています。

なので、

簡単な確認テスト。

ロールプレイ。

先輩同席での商談。

面談。

募集記録の確認。

などで、

「実際にできるか」

を見た方がいいでしょう。

たとえば、

先輩がお客さま役になって、

「安い保険がいいです」

と言ってみる。

新人が、

すぐ商品を出すのか。

もう少し意向を聞くのか。

ここを見る。

実務にかなり近い教育になります。

最初の数件は、先輩や管理者が見てもいい

教育が終わった。

では明日から完全に一人。

ではなく、

最初の数件は、

提案内容。

意向把握。

募集記録。

お客さまへの説明。

などを先輩や管理者が確認する方法もあります。

新人本人も、

「これで合っているのかな」

とかなり不安な時期です。

間違いを探して叱るためではなく、

一人で正しく判断できる状態へ近づけるため

の確認です。

社内規程に入れるなら、どんな文章になる?

新人教育も、

「担当者がそのとき考えて教える」

だけでは、教える内容が人によって変わります。

そこで社内規程へ落としておく方法があります。

私たちが提供している保険代理店向けの自己点検・教育管理サービス「TAGNOTE」では、たとえば次のような規程を収録しています。

TAGNOTE収録規程例 第22条「登録・届出・資格」

登録・届出および募集資格の有効性を、募集開始前ならびに定期的に確認する。

未登録、未届、資格失効、教育未了または権限外の商品について募集させない。

さらに教育については、

第24条「教育計画」

採用時、募集開始前、商品改定時および定期的に、法令、顧客本位、商品、意向把握、比較推奨、高齢者対応、個人情報、サイバー、苦情・不適切事案等の教育を行う。

理解度については、

第25条「能力・理解度確認」

確認テスト、ロールプレイ、募集記録点検、面談その他の方法で理解度および実践状況を確認する。

という形です。

ポイントは、

採用したら教育する

だけではありません。

募集開始前に資格・届出・教育を確認する。

そして、

理解できているかまで見る。

ここまでを一つの流れにしています。

※これらはTAGNOTEが実務利用を想定して作成した規程例であり、金融庁、損保協会、所属保険会社の公式規程そのものではありません。実際の資格・届出・教育要件については、所属保険会社の最新ルールも確認してください。

TAGNOTEに登録すると、新人教育に関係する部分を含め、TAGNOTEに収録している保険業務規程テンプレート一式を確認できます。

TAGNOTEの実画面:会社の保険業務規程を確認する画面(デモ環境・会社名や氏名、数値はサンプル。教育計画など3条を抜粋公開。規程一式・付表・根拠資料は製品版で表示)
TAGNOTEの実画面:会社の保険業務規程を確認する画面(デモ環境・会社名や氏名、数値はサンプル。教育計画など3条を抜粋公開。規程一式・付表・根拠資料は製品版で表示)画像を選ぶと拡大できます。

収録規程の公開サンプルを読む

新人教育が終わったら、年間教育へつなげる

新人教育は、

一度やって終わりではありません。

入社時に基本を学ぶ。

募集開始前に理解度を確認する。

募集を始める。

そして、その後は既存募集人と同じように、年間教育計画へ入っていく。

という流れです。

以前の記事で扱った年間教育計画とは、ここでつながります。

新人教育=募集を始めるための基礎教育

年間教育=募集を続けながら知識・業務品質を維持・更新する教育

と分けると分かりやすいです。


入社、新人教育、理解度確認、募集開始、OJT・初期確認から年間教育計画につなげる
入社、新人教育、理解度確認、募集開始、OJT・初期確認から年間教育計画につなげる画像を選ぶと拡大できます。

最後に。新人へ最初に教えたいのは「分からないときに聞くこと」

商品知識。

法律。

社内規程。

システム。

覚えることはたくさんあります。

全部を入社1週間で完璧にするのは難しいです。

だからこそ、

新人へ最初に教えたいことが一つあります。

分からないまま、お客さまへ答えない。

分からなければ規程を見る。

先輩に聞く。

管理者へ確認する。

保険会社へ確認する。

そして、確認した内容を正しく説明する。

新人に必要なのは、

最初から何でも知っていることではありません。

自分で判断してよい範囲と、確認すべき場面を知っていること。

その土台を作ってから募集を始める。

これが、新人教育で一番大事なところだと思います。

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出典・参考資料