制度改正
2026年〜2028年、保険代理店が対応しておきたい制度変更まとめ
2026年の自己点検・改正保険業法から、2028年3月1日の比較推奨販売まで。制度変更の時期と、規程・教育・記録・個人情報・生成AIの実務対応を、11本の関連記事とともに整理します。
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2026年から2028年にかけて、保険代理店を取り巻くルールや実務はかなり動いています。
2026年6月には改正保険業法と関連する監督指針の改正が施行。
同じ6月には、2026年度版の代理店自己点検チェックシートも追加改訂されました。
さらに2026年8月には、乗合代理店の比較推奨販売について新しいルールが正式に公表され、2028年3月1日の施行・適用が決まっています。
生成AIの利用も広がり、2026年3月には「AI事業者ガイドライン」が第1.2版へ更新されています。
こうなると、
「結局、うちの代理店では何を確認すればいい?」
となります。
制度変更の資料を一つずつ読むだけでは、実際の仕事までなかなか見えてきません。
そこでこの記事では、2026年9月30日時点で保険代理店が押さえておきたい主な変化と、それに関連して実務で確認しておきたいことをまとめます。
それぞれ詳しい内容は個別の記事で解説しているので、気になるところから確認してください。
まず全体像。2026年から2028年はこう動く
大きな流れだけ先に見ると、こうなります。
| 時期 | 主な動き | 代理店側で考えたいこと |
|---|---|---|
| 2026年3月 | AI事業者ガイドライン第1.2版 | 生成AIの社内利用ルール |
| 2026年6月1日 | 改正保険業法・監督指針改正 | 体制整備・代理店管理等 |
| 2026年6月1日 | 2026年度自己点検チェックシート追加改訂 | 自己点検・証跡・改善 |
| 2026年8月28日 | 比較推奨販売の改正内容確定 | 乗合代理店の募集方法・規程・教育 |
| 2026〜2027年 | 2028年施行に向けた準備期間 | 社内規程、募集人教育、記録方法の見直し |
| 2028年3月1日 | 新しい比較推奨販売ルール施行・適用 | 新ルールでの運用 |
2026年6月1日に施行された改正では、特定大規模乗合保険募集人等に対する体制整備義務の強化や、保険会社側の代理店管理などが見直されています。すべての改正項目がすべての小規模代理店へ同じ形で直接適用されるわけではありませんが、保険会社による代理店の教育・管理・監査や、業務品質を確認する方向はより明確になっています。 金融庁:改正の概要と施行日
※表中の準備期間は実務上の目安です。法令の施行日、監督指針の適用日、業界のチェックシート改訂、AI活用のガイドラインは、それぞれ性質が異なります。

1.2026年度の自己点検は、去年の回答をそのまま使わない
2026年度版の自己点検チェックシートは、法令改正等を踏まえ、2026年6月1日付で追加改訂されています。募集人向けの点検項目も同日に更新されています。 日本損害保険協会:自己点検チェックの取組み
ここで大事なのは、
「今年も自己点検を提出する」
だけではありません。
自己点検で、
何を根拠に「できている」と回答したか
を確認できる状態にしておくことです。
社内規程。
研修記録。
募集記録。
改善事項。
こうした日常の管理と自己点検がつながっている必要があります。
詳しくはこちら
2026年度版 保険代理店の自己点検、今年は何を見ればいい? 今年使うチェックシートから、規程・実務・確認資料の見方まで整理しています。
2.保険会社による代理店の確認・監査も意識しておく
金融庁の現行監督指針では、保険会社に対し、代理店の日常的な教育・管理・指導だけでなく、代理店監査等を通じて体制整備や保険募集の適切性を検証することが示されています。
課題が見つかった場合には、期限を定めて改善を求めるなど、実効性のある管理を行う考え方です。 金融庁:代理店の教育・管理・指導
だから、
「自己点検を出したので終わり」
ではありません。
保険会社から、
「この回答の根拠を確認したい」
「この研修の受講記録を見せてほしい」
と言われたとき、慌てず出せる状態を作っておく。
これが日常管理にもつながります。
関連する実務の確認
3.2028年に向けて、一番大きく準備したいのが比較推奨販売
乗合代理店にとって、今後かなり重要なのが比較推奨販売です。
2026年8月28日、金融庁は比較推奨販売について改正後の内閣府令と監督指針を公表しました。
新しいルールは2028年3月1日から施行・適用されます。 金融庁:2026年8月28日公表
ただし、金融庁は、
「2028年まで何もしなくてよい」
とはしていません。
実務上の体制整備に時間がかかることを踏まえて施行まで期間を置いたうえで、可能な限り速やかに体制整備を進めることが望ましいとしています。
代理店側では、
顧客が何を重視しているか。
どの商品を比較対象にするか。
なぜ特定商品を推奨するか。
その考え方を社内でどう統一するか。
を考える必要があります。
詳しくはこちら
保険代理店の「おすすめ商品」、今までの説明で大丈夫? 比較推奨販売の見直しポイント
4.比較推奨販売の前に、「意向把握」を見直す
比較推奨販売だけを整えても、その前の意向把握が曖昧だと、
「なぜこの商品を勧めたのか」
を説明できません。
なお、意向把握義務そのものは今回の2028年改正で新しく始まるものではなく、金融庁も現時点ですでに適切な対応が必要な義務だと明記しています。 金融庁:意向把握義務についての留意事項
たとえば、
「安い保険がいい」
と言われた。
そこで本当に聞きたかったのは、
保険料を最優先するのか。
外したくない補償はあるのか。
現在の契約で困っていることは何か。
といった部分かもしれません。
詳しくはこちら
「お客さまの意向」、どこまで聞けばいい? 保険代理店の意向把握を実務で考える
5.意向や説明を、「あとから追える記録」にする
意向を聞いた。
商品を提案した。
重要事項も説明した。
その場では問題ありません。
でも半年後、
「なぜこの契約になった?」
と聞かれたとき、担当者の記憶しか残っていない。
これでは確認が難しくなります。
今後、比較推奨販売や代理店管理がより重視される中では、
何を聞き、何を説明し、なぜその契約になったか
を事後的にたどれる状態がより重要になります。
詳しくはこちら

図のテーマを詳しく読む:意向把握/比較推奨/募集記録/自己点検
6.社内規程を、一度作ったままにしない
制度や業務が変われば、
社内規程も見直す必要が出てきます。
特に比較推奨販売のように、
「代理店としてどう判断するか」
を決める必要があるものは、担当者個人の感覚だけに任せにくくなります。
また規程を改定しても、
募集人が変更内容を知らなければ、現場の仕事は変わりません。
なので、
規程を見直す → 改定履歴を残す → 社内へ周知する → 必要なら研修する
までを一つの流れで考えます。
詳しくはこちら
7.規程を変えたら、教育も変える
制度変更への対応で忘れやすいのが教育です。
マニュアルを修正した。
規程も更新した。
でも現場の募集人は以前と同じ方法で仕事をしている。
これでは体制整備が実務へ落ちません。
金融庁の監督指針でも、保険会社による募集人・代理店への教育・管理・指導が引き続き重視されています。 金融庁の監督指針
教育については、
「何を今年教えるか」
と、
「本当に誰が受けたか」
を分けて考えると整理しやすくなります。
年間計画について
実施後の記録について
8.新人が入ったときは、継続教育とは別に考える
年間教育計画があっても、
新人募集人が途中から入った場合、それだけでは足りないことがあります。
資格・届出。
自分の募集権限。
意向把握。
商品説明。
比較推奨。
個人情報管理。
問題が起きたときの報告先。
こうした基本を、募集を始める前に確認する必要があります。
新人教育と年間教育は、
新人教育=募集を始めるための基礎
年間教育=募集を続けながら知識を更新する仕組み
として分けると分かりやすいです。
詳しくはこちら
新人募集人が入ったとき、最初に何を教える? 保険代理店の教育チェックリスト
9.個人情報管理は、引き続き重要なテーマ
個人情報については、「2026年に突然新しく始まった制度」というわけではありません。
ただ、保険代理店における情報管理の重要性は改めて強く意識しておくべきテーマです。
個人情報保護委員会は2025年4月30日、保険代理店における個人情報の取扱いについて注意喚起を公表しています。 個人情報保護委員会:2025年4月30日の注意喚起
実務では、
誰が顧客情報を見られるか。
退職者のアクセス権が残っていないか。
メールをどう送るか。
私物端末へ保存していないか。
クラウドや委託先をどう管理するか。
事故が起きたら誰へ報告するか。
まで見る必要があります。
詳しくはこちら
10.2026年は「生成AIをどう使うか」も社内ルールにしたい
ここ数年で大きく変わったのが生成AIです。
経済産業省などが取りまとめる「AI事業者ガイドライン」は、2026年3月31日に第1.2版へ更新されています。 経済産業省:AI事業者ガイドライン
個人情報保護委員会も、個人情報を生成AIへ入力する際には、利用目的やサービス提供者によるデータの取扱いを確認する必要があると注意喚起しています。 個人情報保護委員会:生成AI利用時の注意点
保険代理店では、
「AIを禁止するか」
だけではなく、
どのAIを業務利用してよいか。
何を入力してはいけないか。
AIの回答を誰が確認するか。
を決める方が現実的です。
詳しくはこちら
保険代理店で生成AIを使っても大丈夫? 顧客情報をAIに入れる前に考えたいこと
11.人が辞めても、ルールと記録は会社に残す
制度対応を整えても、
「そのルールは○○さんしか知らない」
「その顧客のことは担当者しか分からない」
では、担当者が退職した瞬間に業務が止まります。
特に、
顧客との約束。
対応中案件。
教育状況。
保険会社との照会。
社内規程の保存場所。
システム権限。
などは、担当者個人ではなく会社側へ残す必要があります。
制度対応を一度作るだけでなく、
人が変わっても続く体制にする
ところまで考えたいところです。
詳しくはこちら
「担当者しか分からない」をなくす。保険代理店の業務引継ぎで残したいもの
2026〜2028年、結局何から始めればいい?
全部同時にやろうとすると大変です。
なので、今の代理店の状態を見ながら順番を付けます。
まず2026年中に確認したいこと
自己点検の2026年度版へ対応できているか。
現在の社内規程が最新か。
研修・募集記録をあとから確認できるか。
個人情報や生成AIの利用方法が社内で決まっているか。
乗合代理店なら、早めに始めたいこと
現在の比較推奨販売を一度確認する。
「何を聞いて」
「どう商品を絞って」
「なぜそれを勧めているのか」
を言葉にしてみる。
そして必要なら、
社内規程。
募集記録。
教育内容。
を見直していく。
金融庁は新ルールの施行を2028年3月1日としつつ、施行を待たず可能な限り速やかに体制整備することが望ましいとしています。 金融庁の公表資料
以下の図の2027年中という時期は、準備を進めるための目安です。2028年3月1日の施行前に運用できるよう、所属保険会社の案内も確認しながら進めます。

準備に役立つ記事:規程の見直し/年間教育計画/比較推奨販売の見直し
制度が変わるたびに、ゼロから対応しないために
制度変更がある。
金融庁の資料を読む。
社内規程を直す。
募集人へ知らせる。
研修する。
記録を残す。
自己点検する。
保険会社から確認を受ける。
本来、これらは全部つながっています。
ところが管理する場所が別々だと、
法改正があるたびに、
「どこを直すんだっけ」
から始まります。
私たちが提供している保険代理店向けの自己点検・教育管理サービス「TAGNOTE」でも、
自己点検。
保険業務規程。
年間教育。
研修記録。
募集人管理。
確認記録。
などを一つの流れとして扱えるようにしています。

また、個別の制度や実務については、このコラムで順番に解説しています。
TAGNOTEを使うかどうかにかかわらず、
制度変更を知ったあと、それを社内規程・教育・日常業務まで落とし込む。
ここまでを一つの仕事として考える。
2026年から2028年にかけては、特にこの考え方が重要になってきます。
関連記事一覧
運営:株式会社Arima Estate · 編集方針・著者情報
出典・参考資料
- 金融庁:令和7年保険業法改正に係る内閣府令等
該当箇所:2026年6月1日施行、特定大規模乗合保険募集人等と保険会社の体制整備。
- 金融庁:比較推奨販売の改正(2026年8月28日)
該当箇所:2028年3月1日施行・適用。速やかな体制整備と現行の意向把握義務。
- 金融庁:保険会社向けの総合的な監督指針
該当箇所:保険代理店の教育・管理・指導、代理店監査等による検証と改善。
- 日本損害保険協会:自己点検チェックの取組み
該当箇所:2026年度版と2026年6月1日付の追加改訂・募集人向け点検項目更新。
- 経済産業省:AI事業者ガイドライン
該当箇所:2026年3月31日公表の第1.2版。
- 個人情報保護委員会:保険代理店への注意喚起
該当箇所:2025年4月30日。個人データの委託範囲・第三者提供・安全管理。
- 個人情報保護委員会:生成AIサービス利用の注意喚起
該当箇所:入力する個人情報の利用目的、提供者による機械学習利用等の確認。
